各国の映画祭やアート・シーンで、はっと息を呑む映像と音の試みが高い評価を受けた牧野貴の新作『On Generation and Corruption』(音楽は10年来コラボレーションを続けるJim O’rourke)や、園芸家/作家としても知られる映画監督デレク・ジャーマンの芸術映画の金字塔『BLUE』の貴重な35ミリフィルム上映、またブライアン・イーノらと共に『BLUE』の音響を手がけた音楽家サイモン・F・ターナーと牧野貴の共同制作作品で、英国最大の映画祭、BFI(ロンドン映画祭)でも上映された映画『The Picture From Darkness』を関西初上映! 更には新千歳空港国際アニメーション映画祭をきっかけに初来日する、今、大注目の映像作家ピーター・バーの特集上映など、今年も年代とジャンルを越境し、充実のラインナップでお届けいたします!
2016年10月、同志社大学ハーディホールで開催されたEXP2016に於いて、ジム・オルークのライブ演奏付きで上映された「On Generation and Corruption」は、その後映画作品として完成し、ロッテルダム国際映画祭で初公開され、その後もニューヨーク映画祭、メルボルン国際映画祭、ドクメンタ14を始め多くの映画祭、国際芸術祭で上映され受賞してきました。通算7本目となる牧野とジムの共同作業は、映画史上稀に見る映像と音楽の奇妙で新しい関係性が驚きとともに高く評価されています。
EXP2017では、「On Generation and Corruption」 の上映だけでなく、2016年に制作されたもう一つの新作「The Picture From Darkness」の関西初上映も行います。この作品は1994年にこの世を去った英国の映画作家デレク・ジャーマンの遺作である「Blue」の後に続く映画として、「Blue」の音楽を手がけている音楽家サイモン・フィッシャー・ターナーが直接牧野貴に制作を依頼した映画です。世界初上映はBFIロンドン映画祭でサイモンのライブ演奏付きで上映されました。シネ・ヌーヴォでは「Blue」の35ミリフィルム上映と「The Picture From Darkness」の二本立てという、理想的な条件での上映となります。スクリーンに深く深く果てしなく広がるクライン・ブルーは夜空を、星空を、体内の闇を通過し、やがて平和な光の中に解放されていきます。サイモン・フィッシャー・ターナーによる渾身のオリジナルサウンドトラックにも御注目下さい。
さらに、コンピューターアニメーションやインスタレーション作品で、美しくも何処かに怖さを秘めた独特の世界を描き出し、注目を集めるブルックリン出身の映像作家、ピーター・バーをゲストに迎え、上映とトークを行います。コンピューターアニメーション、実験映画、長編映画等の枠も国境も時代もフォーマットも超え、現代の特異な芸術映画がここに集い、一挙上映される事となります。ご期待下さい!
2012年より始まった西日本での映画上映プロジェクトEXPも、今年で5回目となります。毎年続けていくことにより、新たな可能性も拡大してきたという事を実感しています。この企画をサポートしてくれている同志社大学の皆様、シネヌーヴォの皆さん、DOOM!の皆さん、応援してくれる友人達に心より深く感謝致します。
2017年9月22日 牧野貴
日大芸術学部映画学科卒業後、単身渡英し、舞台照明の仕事を経て、2002年よりカラーリストとして劇映画やアーカイブの色彩調整を担当する傍ら、2004年より単独上映会を開始。鑑賞者の想像力を支配するのではなく解放する事を目的として制作された映画を発表し、独特の深い有機性を持つ実験的映像で映画表現の新たな側面を浮かび上がらせる。2009年には上映組織「+」を設立し日本に紹介される事のなかった多数の芸術映画の上映活動を行う。また2011年よりエクスパンデッド・シネマプロジェクトを展開。近年は映画界のみならずアートシーンでも注目を集め、昨年末より香港での個展、ドクメンタ14での上映に続き、今冬には東京で初個展の開催が予定されている。
http://makinotakashi.net/
1980年ブルックリン出身。主にアニメーションとインスタレーションを手がけるアーティスト。近年は特に「無限に変化する迷路」の概念を探求。一部の作品はクリエイティブ・キャピタルとサンダンスの支援によりビデオゲームとしても展開されている。2006年にはビデオレーベルCartune Xprezを設立し、DVDコンピレーションの出版、ライブ・マルチメディア展の開催や、実験的アニメーションの最前線でアーティストグループを紹介するツアー番組の制作を手がける。アテネで開催されたドクメンタでは展示のほか、ユーモアたっぷりなコンピュータ・ウイルスの配布を行い、注目を集めた。
1942年英国生まれ。ロンドン大学キングス・カレッジで美術を学んだ後、映画監督ケン・ラッセルのもとで美術スタッフを務めた。 その後スーパー8で撮影した 『In the Shadow of the Sun』で映画監督デビュー。実 験的な映像は評価を受け、80年代以降はロックミュージックのミュージッククリップなど映像制作でも活躍(ザ・スミス、ペット・ショップ・ボーイズ等)。 Coilやサイモン・F・ターナーらを自らの映画音楽担当に起 用して新しい才能を発掘したほか、舞台デザイン、作家、園芸家としても知られる。また生前より自らがゲイであることを公表していた。惜しくも1994年に亡くなったデレク・ジャーマンの最後の作品『BLUE』は、 始めから終わりまで青一色の映画で、画家イヴ・クラインに捧げられている。
出演(声のみ):デレク・ジャーマン、ティルダ・スウィントン、ナイジェル・テリー、ジョン・クエンティン
音楽:サイモン・フィッシャー・ターナー、ピーター・クリストファーソン、ブライアン・イーノ、カロル・シマノフスキ、エリック・サティ
映画史上最もミニマルで美しい究極の映画。始めから終わりまで青一色の映画『BLUE』は、エイズで亡くなったデレク・ジャーマン最後の作品で、フランスの画家、イヴ・クラインに捧げた映画である。“青”は観る者の心の状況によって色が違って見える。覚醒、瞑想、至福…。
『BLUE』は、溢れ出す奔流というよりは、静かに澄み渡り、穏やかな、包まれた湖のような作品であり、観客全員がそれを分かち合うために招待された、パーソナルな旅なのである。
アメリカ出身。10代後半にデレク・ベイリーと出会い、ギターの即興演奏を本格的に始める。その後、実験的要素の強い作品を発表。ジョン・フェイフィの作品をプロデュースする一方でガスター・デル・ソルやルース・ファー等、地元シカゴのバンドやプロジェクトに参加。「シカゴ音響系」と呼ばれるカテゴリーを確立する。一方で、マース・カニンハム舞踏団の音楽を担当するなど、現代音楽とポスト・ロックの橋渡し的な存在となる。近年ではソニック・ユースのメンバー兼音楽監督としても活動。2004年にはWilco/A ghost is bornのプロデューサーとして、グラミー賞を受賞。2007年より日本に移住しボーダーレスな音楽活動を展開し続けている。
ザ・ガジェッツ等のグループ活動を経て、1987年に「キング・オブ・ルクセンブルグ」名義でアルバムをリリース。並行してデレク・ジャーマンの映画『カラヴァッジオ』などのサウンドトラックを制作。1990年、実名をアルバム名とした『サイモン・フィッシャー・ターナー』を発表しソロ・アルバムや映画音楽で展開する出発点となる。執拗なサンプリングやコラージュ、無国籍なアンビエント・ミュージックが特徴。現在はソロと映画音楽に加え、SwiftやLANA LARA LATAなど映像に音楽を付け加えてリリースするなど、積極的な創作活動を行っている。
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