フラッシュバックメモリーズみたよ。


 


フラッシュバックメモリーズ。

恥ずかしながら、初めて松江監督作品をみた。
ディジュリドゥアーティストのGOMAは追突事故で記憶が無くなってしまう障害をかかえてしまった。覚えていない事への不安や苛立ち、制御できない不安定な感情のなか、それでもなんとか家族や周りの人たちとディジュリドゥアーティストへの復帰を果たす。それら過去の記憶が今のGOMAの演奏のバックにまさにフラッシュバックする。
彼の苦悶の日々はとてもすごいものなんだろうと思ったけれど、あまり暗さが感じられない作りになっていた。こんなに苦労したとか、障害との壮絶な戦いとかなんとか、演歌みたいになってなくて、GOMAや彼の奥さんの日記を交え、苦しみながらも未来に向かっているところがよかった。
GOMAはすごいアーティストなんだなぁと思った。
ディジュリドゥは私の叔父も趣味で作ったり吹いたりしていたので知っていたけれど、こんなにすごい音が出る楽器だったっけと驚いた。
いろいろと思う事はあったのだけれど、ふと気付いた。
そうだ。これは『山下達郎 シアター・ライヴ PERFORMANCE 1984-2012』をみたときと同じだ。
ライブにこそ、GOMAなんだと思った。
3Dでスクリーンにちっちゃく浮き出てきたのが、かわいくてちょっと笑ってしまったが。
みんな映画じゃなくて、GOMAのライブを見に行ったらいいと思う。

私はドキュメンタリー映画に、よく驚かされる。
自分では思ってもみなかったことや、思ってた事と全然違うことがよくあるからだ。それは監督の視点によって、また監督と被写体の関係などによって引き出されるものだと思っている。
この映画をみて、監督によって引き出されたものはなんだろうと思った。
なんもないような気がする。
ライブこそが監督のみせたかったものなんだったら仕方ないけれども、でも、私はドキュメンタリー映画にそういう驚きを期待している。